撤退・破産

中国事業から撤退する際の留意点 解散、清算、破産の手続

 

中国子会社撤退の方法及び撤退時の留意点

中国の子会社が撤退をする主な方法は①持分譲渡、②清算、③破産に大別されます。

 

以下、それぞれの方法に概要と留意点について簡単に説明をさせていただきます。

 

持分譲渡

持分譲渡は会社の株式持分を譲渡することによる撤退の方法です。

 

持分譲渡は、中国の子会社を存続させたまま撤退をすることができるため、従業員の解雇などを伴わずに穏便に撤退できる方法として、第1に検討されるべき撤退方法です。

 

合弁企業で中方合弁パートナーに持分を譲渡する場合のほか、独資でも中国企業に持分を買い取ってもらったり、中国現地法人の中国人幹部に対して持分を売却したり、様々なパターンがあります。

 

撤退を検討するということは何らかの経営上の困難が生じている場合が多いため、そのような会社の持分の譲受先を探すことができるかどうか、という点が課題となります。

 

近時は中国資本による対日投資の熱が高く、現地法人の買収は比較的円滑にいきやすいパターンの一つといえます。現地法人の財務状態が良くなくても中国企業にとっては日系のブランド力や技術力が魅力に映る場合もあり、中国律師やコンサル会社の中でも買い手・売り手双方の希望についての情報網が多くありますので、しっかりと情報収集を行い、粘り強く譲受先を探すことが肝要です。

 

清算

持分譲渡が困難な場合、従来は、清算が中国からの撤退の主な方法でした。

 

清算は全ての債務を完済しなければならず、手続が非常に面倒であるうえ、従業員対応や当局との対応など神経を使う必要のある場面が多々発生します。清算を行うには専門家とも協議のうえ、周到な準備をして臨むことが必要です。

 

なお、2017年からは簡易登録抹消という新しい制度が施行されており、清算に関し手続がやや簡素化されたメニューが設けられました。日系企業も要件を満たせば利用できますので、清算を行う場合は選択肢の一つとして念頭に置いておくことをお勧めします。

 

破産

中国では2007年から企業破産法が施行されていたものの、従来は、人民法院で破産申立が受理されないといった問題があり、中国からの撤退が容易ではない原因の1つになっていました。

 

しかし、2016年以降、企業破産法の取扱に関する人民法院の体制を強化する通達が出され、中国における企業破産の実務が大きく前進しました。

 

日系企業でも要件を満たせば破産の申請を行うことが可能ですが、実務の実情については地域差があることも予想されるため、現地の破産実務に慣れている中国律師に十分相談をすることが必要です。

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